本格的オスマントルコ様式のモスクを見学ー東京ジャーミー・トルコ文化センター(東京渋谷区)

日本最大の美しいモスクで異文化を体験

かつて通勤中の小田急線の車窓から大きなドーム(丸屋根)やミナレット(塔)が見えて気になっていたイスラム様式の建物があります。小田急線代々木上原駅近くにある「東京ジャーミー・トルコ文化センター」です。新型コロナの感染拡大がやや落ち着いて緊急事態宣言が明けた11月の休日に、見学に行ってきました。

「東京ジャーミー」は近郊に住むイスラム教徒の方々の礼拝が行われるモスクですが、都市や街の中心にある大型のモスクをトルコ語ではジャーミー(Camii)というそうです。隣接するトルコ文化センターではハラルショップやカフェが併設され、お土産を買ったり軽食が食べられるようになっており、存分に異文化を楽しめる環境が整っています。

西側道路からの外観。左奥が東京ジャーミー(モスク)、右手前がトルコ文化センター

西側道路からの外観。左奥が東京ジャーミー(モスク)、右手前がトルコ文化センター

古典的なオスマン様式を用いたモスクに対し、文化センターは新しいスタイルで様式化されています。

平日でも見学可能、土日・祝日には日本語ガイドツアーあり

宗教施設では異教徒の見学が不可のケースもありますが、東京ジャーミーは毎日10時から18時まで予約なしで一般の人も見学が可能です。また、土日・祝日の14:30から予約不要、参加費無料の日本語ガイドツアーがあります。行きたいと思ったらすぐに行けるのでうれしい限りですが、金曜日は集団礼拝があるため見学は14時以降、見学の際の服装の注意等もあるので訪問の際はホームページで事前に確認してからお出かけください。

東京ジャーミーの1Fエントランスホール。関係図書や雑貨などが購入できるコーナー、休憩コーナーなどがあります。

東京ジャーミーの1Fエントランスホール。関係図書や雑貨などが購入できるコーナー、休憩コーナーなどがあります。

日本語ガイドツアーの集合場所である1階エントランスホールにある休憩コーナーには、座って休めるソファーやトルコの暖炉が置いてあります。鮮やかなモザイクタイルで装飾された美しい暖炉です。

1階休憩コーナーに置かれたトルコの暖炉。

1階休憩コーナーに置かれたトルコの暖炉。

礼拝場は建物2階、礼拝の様子も見学できます

イスラム教では一日5回礼拝が行われますが、東京ジャーミーの土日・祝日の日本語ガイドツアーでは、午後の礼拝(アスル)の様子を見学することができます。見学時には男女ともに肌が露出しない服装で、女性は頭にストールまたはスカーフをかぶります。礼拝場の入口で貸し出しがあるので忘れても大丈夫です。靴を脱いで入ります。

礼拝場では礼拝する男女の席は分かれており、男性は1階会場、女性は2階席からお祈りをします。説明では、お祈りするときに邪念が入らないよう席を別々にしており、女性専用の2階席の方が会場全体を見渡せて良い席とのことです。見学者は男女一緒に1階会場の後ろの方で一緒に座って見学します。

礼拝場2階席からドームを見る。スカーフをかぶっているのは女性見学者。

礼拝場2階席からドームを見る。スカーフをかぶっているのは女性見学者。

植物のつるや葉、花、幾何学模様などからなるアラベスク文様がデザインされたステンドグラスは西日を受けて大変キレイでした。壁や天井にはアラビア文字のカリグラフィの装飾が見られます。

礼拝場内のステンドグラス。

礼拝場内のステンドグラス。

礼拝場の床にはジュータンが敷き詰められていますが、横にラインが入った模様になっています。この横のラインは礼拝者が横一列に並ぶ際の目印になるとのことで、これはイスラムの教え『平等』を示しているとのことです。イスラムは皮膚の色、民族(国家)、言語、血筋、階層などで人間の優劣をつけず、お祈りするときはみな同じ扱いを受けるのだと説明を受けました。

2階席から1階の礼拝場を臨む。

2階席から1階の礼拝場を臨む。

礼拝場中央の大きな丸天井(ドーム)から大きなシャンデリアが下がっていますが、間下に行って上を見上げると6角形をしています。このシャンデリアをはじめ、建物内にある照明も見どころになっており、トルコから運んできたものだそうです。また、実際には見れませんでしたが夜のライトアップもキレイとのことです。

ドーム下のシャンデリアを真下から見る。

ドーム下のシャンデリアを真下から見る。

礼拝場の正面は聖地メッカの方角を向いており、中央部にはアーチ状のくぼみ「ミフラーブ」があります。

礼拝場正面にあるミフラーブを臨む。

礼拝場正面にあるミフラーブを臨む。

建物外観とミナレット(塔)

礼拝場入口から外へ出ると広いバルコニーがあります。ここからミナレット(塔)がまじかに見れます。ミナレットは一日5回ある礼拝の時間を信者に伝えるためにあるそうで、昔は肉声で伝えていたけれども近年ではスピーカーを通して伝えることが多くなったとのことです。本来の機能は失われつつあるのかもしれませんが、ミナレットは建築的にもモスクを象徴的に示す重要な役割があると思います。

モスクを象徴するミナレット(塔)

モスクを象徴するミナレット(塔)

2階バルコニーからミナレット(塔)を臨む。

2階バルコニーからミナレット(塔)を臨む。

躯体は鹿島建設、内装はトルコ人職人と技術者によって完成

立派なドームやミナレットがあり、細部まできめ細やかにデザインされ、日本にありながら本格的なイスラム建築を見学することができました。こちらの建物ですが、元々は東京に移住したカザントルコ人によって1938年に祈りの場としてオープンされ、1986年に老朽化のため取り壊されたあと、トルコ共和国の宗教庁と東京モスクファンデーションによって再建されたものとのことで、躯体工事は鹿島建設、内装及び外部仕上はトルコ人職人と技術者によって手作業で行われたそうです。2000年4月竣工、設計はトルコ人建築家ムハレム・ヒルミ・シェナルプ氏(ハッサ建築事務所)が担当されました。

以下はハッサ事務所ホームページ(https://www.hassa.com/ja)から一部引用

トルコ東京モスク新築工事
〈トルコ東京モスク〉は、トルコ人建築家ヒルミ・シェナルプ氏の基本設計による。伝統的なオスマントルコ様式に則ったイスラム教寺院。国内最大級の本格的モスクで、大小15のドーム空間を持つ本体と地上41mのミナレット(尖塔)からなる。照明計画では、外壁やドーム両面、ミナレットをライトアップして建物の特徴を際立たせるようにし、かつ、周辺の住宅地域に光害が生じないよう照明計画の取付位置、照射方向にも配慮した。外壁は歩道に面して出幅が取れないため、侠角型視光器で上部を照らして均一な明るさを確保。ドームは周面の壁面は柱に光を当てることで複雑な形状を浮かび上がらせている。ミナレットは塔の上部と下部をライトアップし、特にバルコニー下部の  を美しく照らし上げている。このモスクは一般公開を行っていることもあり、渋谷の新しいランドマークとして注目されている。

おまけ:ランチにトルコ料理はいかがでしょうか

東京ジャーミーは小田急線代々木上原駅から徒歩5分の場所にあります。ひとつお隣の東北沢駅や2つ隣の下北沢駅からも歩いて行けます。せっかくトルコの文化に触れるのですから、トルコ料理のランチを取ってから訪問してはいかがでしょうか。下北沢にあるトルコ料理のお店「Kebab Chef」が近場でおススメです。

せっかくなのでケバブを食べたいですよね。牛、羊など数種類の肉のケバブの盛り合わせのミックスケバブセットはこちら ↓

ミックスケバブセット

ミックスケバブセット

 

トルコと言えば、サバサンド! 期待通りのおいしさです ↓

一度は食べてみたいサバサンド。揚げた鯖をパンにはさんであります。

一度は食べてみたいサバサンド。揚げた鯖をパンにはさんであります。

 

新型コロナの影響でなかなか海外へ行けない中、東京ジャーミー・トルコ文化センターは東京にいながらどっぷりと異文化体験ができる貴重な場所だと思います。機会があればぜひ訪れてみてください。

【関連リンク】
東京ジャーミー・トルコ文化センター
ハッサ建築設計
Kebab Chef(下北沢のトルコ料理店)

関連記事

PAGE TOP