花粉、PM2.5、黄砂とカビ対策

居室についている給気口の例

カビ対策には換気が大切

いよいよ関東地方も梅雨入りし、雨の日が多くなりました。湿気が多いこの時期は、カビ対策として「換気が大切」という話をよくさせていただきます。一方で換気を行う際には、家の中に取りこみたくない物質が入り込んでしまう可能性があるということを忘れてはいけません。今回は 換気時に気を付けたいこと を取り上げます。

最近では、私たちの暮らしの中で換気がとても大切であることが再確認されています。カビ対策はもちろん、1990年代に社会問題化したシックハウス症候群の対策にも、換気は有効です。シックハウス症候群とは、工業化された建築資材などに含まれる化学物質が原因で室内の空気が汚染され、室内にいると頭痛やめまいなどの症状を引き起こすことを言います。主に新築住宅や、新品の家具を購入した際などに注意が必要です。

シックハウス症候群が社会問題となり、建築基準法の改正を経て、2003年以降に建てられた新築住宅では24時間換気が義務付けられました。24時間換気システムとは、スイッチを入れておけば、窓を開けなくても2時間に1度の割合で室内の空気が新鮮な空気に入れ替わるシステムです。

24時間換気システムのスイッチの例。スイッチは切らないことが前提となっています。

気候の良い時には、この24時間換気システムを使いながら、窓も開けて室内の空気を入れ替えましょう。

花粉や黄砂、PM2.5が飛来する時期は、洗濯物は部屋干しを

一方で、換気をするにあたり気になることが「花粉」「黄砂」「PM2.5」問題ではないでしょうか。いずれも微粒子で、体内に入ると風邪に似た症状や喘息アレルギーを発生したり、それらの症状が重症化することがあります。

まず最初の対策は「窓を開けないこと」です。そして洗濯物は「部屋干し」がおススメです。花粉や黄砂、PM2.5が飛来する時期は、アレルギーの心配のある方は、窓は開けず洗濯物は部屋干しして、この時期を乗り越えましょう。

洗濯物の部屋干しをする際、カビ対策として「早く乾く」ことが大切です。スポット的に風を送って早く乾かす「サーキュレーター」を使用することをお勧めします。

【参考リンク】部屋干しの洗濯物をサーキュレーターで効果的に乾燥させる方法(by All about)

窓を開けなくても給気口(換気口)から花粉や黄砂、PM2.5は入ってくる

窓を開けなくても、住まいにある「給気口(換気口)」から花粉や黄砂、PM2.5が入ってくる恐れがあります。そこで、それらの物質が室内に入り込まないような対策が必要となってきます。簡単な対策としては、「給気口」に「フィルター」を取り付けて、そこでシャットアウトする方法があります。花粉・黄砂・PM2.5などを取り除くための給気口用フィルターは、ホームセンターやインターネット通販などで入手でき、自分で取り付け可能なものもあります。

市販されている換気口用フィルターの例

しかし、新鮮な空気の取り込みに支障がないよう、フィルターの掃除や交換を定期的に行う必要があるなど、給気口の数が多くなるとそれだけ手間もかかります。

新築時に検討したい「住まいの換気方法」

給気口のフィルター交換などの手間を減らし、効果的にそれらの物質をシャットアウトする方法があります。それが第一種換気法を取り入れることです。第一種換気法とは、室内への空気の取り込みと排出を機械を使って制御する方法です。この換気法を採用した家では、天井裏などにある換気システムの部分にフィルターを取り付けるだけでよくなります。

ところが、現在最も多く採用されているのはこの第一種換気法ではなく、第三種換気法という別な換気方法です。新鮮な空気の取り込みは各居室に設けられた給気口から行われ、汚れた空気の排出のみ機械で行います。この方法だと給気口が家中のあちこちにあるため、フィルターの取り付け数も多くなります。

もし家族の中に、花粉症や喘息アレルギーなどを患っている人がいる場合は、第一種換気法を採用して、そこに高性能のエアフィルターを搭載させるなどの対策を取った方が、効果が高く手間もかからないで済みます。

どのような換気法を用いるかは、住まいの計画段階で決めないといけません。もしこれから家を建てる方は、換気法にもいろいろあるということを覚えておき、設計段階で設計士に相談してください。マンションでは自分で換気法を指定することはできませんが、どんな換気法を採用しているのか事前に確認することをお勧めします。

花粉、黄砂、PM2.5対策をしながら、しっかり換気を

いずれにしろこれからは、一年を通して家の換気をしっかり行うことと、花粉・黄砂・PM2.5対策も行っていくことの二本立てが必要になります。先ほどご説明した換気方法の導入を検討するとともに、空気清浄機や空気清浄機能付きのエアコンを導入するなど、めまぐるしく高性能化が進む家電製品も上手に利用してください。

 

※関連する記事(監修)が 2019年6月6日 NTTファシリティーズ でんき案内板で公開されました。

花粉や黄砂が気になってもマンション換気はそのまま。カビ対策にも換気は必要

【監修記事】花粉や黄砂が気になってもマンション換気はそのまま。カビ対策にも換気は必要(NTTファシリティーズ 6月6日公開)

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2023年4月12日更新

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