スリランカを歩く|第3回 ペラヘラ祭2025

ペラヘラ祭 黄金の装束をまとった象の行列 キャンディ

スリランカの古都キャンディは、世界遺産にも登録された歴史ある街。そのキャンディで毎年夏に開催されるのが、国内最大のお祭り『ペラヘラ祭(Esala Perahera Festival)』です。このたび念願かなって2025年のペラヘラ祭に行くことができました。

キャンディ湖と街並みの風景

高台から見下ろすキャンディの街並み。湖と緑に囲まれた世界遺産の古都。

① 世界遺産の街・キャンディ

スリランカ中部にある古都キャンディは、かつてシンハラ王朝の最後の都として栄えた街です。市街地は山あいに広がり、中心には静かなキャンディ湖がたたずんでいます。その湖畔に建つ「仏歯寺(ダラダー・マーリガーワ寺院)」は、仏陀の歯を祀るスリランカで最も重要な寺院であり、世界遺産にも登録されています。

スリランカ キャンディの仏歯寺の外観

世界遺産キャンディの中心に建つ仏歯寺。ペラヘラ祭の出発点でもあります。

キャンディに来たら、まずはこの仏歯寺にお参りしましょう。お寺の周りではお供え用の花が所狭しと並べられており、参拝者はそれを手にして中へ入ります。私も現地の方に混ざって花を供え、祈りを捧げました。観光客であっても敬虔な信者と同じ空間で、自分の心配事や願いごとを真剣に祈ることができ、静かな一体感を味わうことができます。

仏歯寺に供えられる色鮮やかな花

参拝者が仏歯寺に捧げるための花々。後ろに見えるお店で購入。香りにつられてたくさんのハチが寄ってきます

お寺のあるお庭への入り口ではセキュリティチェックと服装チエックがあります。短パン、ミニスカート、ノースリーブなど肌の露出が多い人はストールを借りて身に着けていました。女性レーンと男性レーンがあり、この日は女性レーンはすいすい進んでいました。

参道を進むといよいよ正面にお寺への入り口があります。1人あたり2,000ルピー(約1,000円)の入場料を払い、靴を預けてはだしになります。この先は熱い石畳が続くので、靴下を持参すると良いでしょう。

仏歯寺の階段と月輪石の意匠

階段の足元に置かれた月輪石(ムーンストーン)。供えられた花とともに信仰の深さを感じさせる。

仏歯寺の階段に刻まれた小人の彫刻

石段に刻まれた小さな守り神のような像。参拝者を静かに見守っている。

2階に上がると仏歯が祀られている黄金の部屋があります。ここへ来ると混雑がすごくて立ち止まることもできませんでした。現地の家族でしょうか、床に座って一心に祈りの言葉を掲げている人も。

仏歯寺 内部に祀られた仏歯の聖なる部屋

金色に輝く仏歯の部屋。信仰の対象として多くの参拝者が祈りを捧げます。仏歯が安置されている本堂の扉が開くのは一日3回のプージャ(5:30、9:30、18:30)の時のみです。

② ペラヘラ祭とは?

そんなキャンディで毎年夏に開催されるのが、スリランカ最大のお祭り「ペラヘラ祭(Esala Perahera)」です。この祭りは仏歯寺に安置されている仏陀の歯(仏歯)を讃えるために行われ、祭りの際には仏歯のレプリカを収めた金の容器が象の背中に載せられて、街中を練り歩きます。

ペラヘラ祭 赤い装束をまとった象の行列

赤い電飾に彩られた象が夜のキャンディを進む。仏歯を讃える祭りの荘厳な雰囲気。

数百年の歴史をもつこの祭りは例年7月下旬から8月上旬にかけて約10日間続き、世界中から観光客が集まる華やかで壮大な祭典となっています。

③ ペラヘラ祭の見どころ

③-1 光り輝く象の行列

ペラヘラ祭といえば、豪華な衣装をまとった象たちの行進が最大の見どころ。なかでも、仏歯を象徴する舎利容器を背にのせた象が登場する瞬間は祭りのクライマックスです。お祭は暗い時間帯に行われるため、全身を電飾で飾られてゆっくり歩む象の姿は神々しく、より幻想的で荘厳な気配を醸し出しています。

青い装飾をまとった象と象使いが行進するペラヘラ祭の様子

青い電飾に輝く象。祭で初めて電飾の象が通ると観客は興奮して思わず立ち上がる人が続出でした。

街歩きをしていると、伝統衣装を着た人々や寺院を訪れる巡礼者に出会えるのもキャンディならではの風景。落ち着いた雰囲気の中に、どこか特別な空気が漂っています。

③-2 伝統舞踊と太鼓の響き

象の行進の合間には、伝統舞踊がお披露目されます。大勢のダンサーが、スリランカの伝統舞踊である「キャンディアン・ダンス(Kandyan Dance)」を太鼓のリズムに合わせて踊ります。舞踊演目は数種類あり、中でも炎を使ったファイアーダンス(Fire Dance)は迫力満点です。ダンサーの中には子どもも混ざり、思わず目を引きます。街じゅうに鳴り響く太鼓の音が、観客の心まで高揚させます。

ペラヘラ祭 炎を操るダンサーたち

火を掲げて踊る炎の舞。熱気と迫力に観衆の視線が釘付けになる。

力強い太鼓の演奏を披露する男性ダンサーたち

迫力ある太鼓の響き。ペラヘラ祭では、スリランカ中からダンサーが集まってくるとか。

④ ペラヘラ祭2025年の開催情報

④-1 開催時期:例年7月下旬〜8月上旬(日程は6月頃に発表予定)

ペラヘラ祭は、スリランカの仏教暦で特別な意味を持つ「エサラ月(7月〜8月)」の満月の日に合わせて行われます。この満月の日は、仏陀が初めて説法をした記念日とされており、宗教的にも非常に大切な日です。毎年の最新情報は公式サイトでご確認ください。

祭りは約10日間にわたって続き、クライマックスとなる最終日の大行列が、この「満月の日」にあたるように組まれています。そのため、西暦での開催日は毎年少しずつ変動しますが、基本的には「満月の夜」が祭りのハイライトとなります。

④-2 渋滞に注意

私が訪れたのは、2025年のペラヘラ祭の最終日(2025年は8月8日)。スリランカ中から祭を見物するために人が大移動してきます。当日にネゴンボ→キャンディと車で移動したさいにも交通渋滞でキャンディにたどり着くまでに時間がかかりました。また、やっとキャンディに着き、ホテルから徒歩で見学会場まで向かうものの、規制線がはられ、なかなか予約席にたどり着けませんでした。現地の人は道路沿いにシートを敷いて何時間も前から場所取りをしています。外国人も含め見物客の数がものすごく多いです。

④-3 観覧方法と観覧席:道路沿いで無料観覧可能/有料観覧席は事前予約制

ネットなどで「道路沿いなら無料で観覧できる」という情報も見られますが、あまりお勧めできません。私がいたクィーンズホテルの有料席の向かいの道路沿いで無料観覧している現地の人たちの様子が見えましたが、本当に大変そうでした。暑いなか、祭りは数時間に及びます。簡易トイレがあるとのことですが、そこまでたどり着けるのでしょうか。具合が悪くなったのか担架で運ばれる人もいましたし、道路沿いの看板に人々の荷重がかかって危険だったようで、「そこをどけ!」と警官に注意されていました。特に慣れていない観光客には危険だな、と思いました。

有料観覧席は、椅子が用意されており、屋根付きの場所ならスコールが降っても安心です。トイレも行けます。ツアーなら席が用意されていますし、フリーで旅をしている人でも当日でも買えるようです。旅立つ直前に確認したところ、トリップアドバイザーでも購入できそうでした(要確認)。私は旅行会社の人にクィーンズホテルの席を確保しておいてもらいました。

④-4 事前準備と持ち物

祭は長時間かかるため、飲み物と食べ物の確保は必須です。当日はペラヘラ祭が最大に盛り上がると言われる最終日だったからか、街中は人人人…。有料席が確保されており少し時間があったため、ホテルを出発して徒歩で移動中にドライバーさんが「キャンディセントラルマーケット」に案内しようとしてくれました(飲物と食料確保のため)。しかしそれが大きな判断ミスで、人混みをかき分けてようやくついたマーケットは、なんとお休み。そうこうしているうちに規制線が張られ、道には人があふれ、すぐそこにあるはずのクイーンズホテルになかなか行けず、同じところをぐるぐる回ったり、道端で席を取っている女の子のズボンを踏んずけてしまったり(ごめんなさい)、柵を乗り越えてジャンプしないといけなくなったり、大変な目にあいました。当日は時間に余裕をもって、早めに食料と水を確保して、早めに席につきましょう。ちなみに、クィーンズホテル内のレストランで食事ができるので、始まる前に済ます方法もあります。

⑤ 体験してわかったペラヘラ祭の魅力

太鼓の音と音楽と伝統的なキャンディアン・ダンス、そして豪華な衣装をまとった象の迫力。電飾で飾られた象がくると、見学客も盛り上がります。

ペラヘラ祭のハイライトは「キャンディアン・ダンス」と呼ばれるスリランカ伝統舞踊です。歴史的には、寺院や特定の家系に属する踊り手が担ってきたといわれています(註1)。実際、現地のドライバーさんも「観光客向けのショーの踊り手と、ペラヘラで踊る人は違う」と教えてくれました。

ペラヘラ祭の舞踊や太鼓は、長い歴史の中で特定の家系によって継承されてきました。かつては寺院に仕える役割を担う家族に限られていましたが、現代ではその伝統を大切に守りながらも、多くの人に開かれた文化として伝えられています。代々続く踊り手たちの姿からは、単なる芸能を超えた信仰と誇りを感じることができます。

ペラヘラ祭で大人と一緒に舞う子どもの伝統舞踊ダンサー

子どもも参加する伝統舞踊。世代を超えて受け継がれる文化の象徴です。

⑥ まとめ

ペラヘラ祭は、現在は仏歯を祀る祭になっていますが、それは1775年からでそれ以前はヒンドゥーの守護神を祀る祭祀だったとのことです(註2)。ペラヘラ祭は、宗教儀礼であると同時に、スリランカという国の文化と誇りが凝縮された祝祭です。仏教徒だけでなく、あらゆる宗教・民族の人々が集まり、国全体が一つの祈りと祝福に包まれる──そんな空間が、キャンディの夜に広がっていました。

人々の祈りと身体の動きが、空間に意味を与え、時間を超えた感覚を呼び起こす。「生きているうちに一度は見たい」と思っていたお祭りに念願かない立ち会えたことは、私自身のかけがえない思い出になりました。もしこの祭りに興味を持たれた方がいれば、ぜひ一度、現地でその空気を感じてみてください。訪れる際にはどうか時間と体力に余裕を持って、祈りと熱気に包まれる夜をじっくり味わっていただきたいと思います。

プチ情報:ホテル選び

おすすめホテルはなんといっても行進の途中にある「クイーンズホテル」。キャンディの中心部にあり、仏歯寺の隣にあります。歴史あるコロニアルな建物で、ペラヘラ祭を観覧できる特別席があります。お祭りは長時間になりますが、ここに宿泊すれば途中でお部屋に戻って休むこともできます。

キャンディ中心部に建つ歴史的なクイーンズホテルの外観

キャンディ湖畔にあるクイーンズホテル。宿泊したことがありますが、重厚感があり、歴史を感じるコロニアルな雰囲気が素敵なホテルです。

クィーンズホテルはペラヘラ祭の時期は早々に予約が埋まるので、歩いて帰れる「スイス・ホテル・キャンディ」や「ラディソンホテルキャンディ」なども候補にするとよいでしょう。

ラディソンホテルキャンディの客室

今回はラディソンホテルキャンディに宿泊。新しく近代的なホテルですが、部屋はやや狭め。高台にあるので眺めは素晴らしいです。

出典・参考

以下はホテルの公式サイト

関連記事

  1. Heritance Kandalamaの外観。緑に覆われ、まるで森の一部のように静かに佇む。バワが設計した「風景の中に建築を消す」という思想が体現されている。
  2. スリランカのジェフリー・バワ設計Jetwing Lagoonホテル、コテージの外観。自然と調和した白壁と赤瓦屋根の建築
PAGE TOP