家族構成やライフステージの変化があったとき、それまで住んでいた家がどうもしっくりこなくなる時があると思います。例えば子どもが巣立ったあとの子ども部屋をどう使ったらよいかわからない、など。
間取り選びにおいて、子どもには個室を与えてあげたいと思う人はたくさんいらっしゃるようです。もちろん、住戸面積が広ければ、十分な広さの個室を子どもの数だけ用意することができるでしょう。
しかし都市部のマンションの場合、ただでさえ価格が高止まりしていて、なかなか一般のご家庭では手が届かないものになりつつあります。そこで、ファミリー向けの間取りでも専有面積が60㎡台程度と、専有面積を縮小して手が届きやすい価格にしている物件が多く見られます。
専有面積60㎡程度で子ども部屋の数も確保したいとなると、各部屋を小さくするしかありません。その結果、4.5畳~5畳程度の個室が二つある3LDKの間取りが誕生します。
子どもが一緒に暮しているときは良かったものの、子どもが巣立った後、その狭い個室は使いようがなく、物置になっているご家庭も多いのではないでしょうか。限りある住空間なのに、もったいないですよね。
マンションの住戸内に細かく区切られた空間が多くあると、 その分、住戸内の風通しも悪くなります。 子どもが巣立ち、夫婦二人でゆっくり暮すようになると、ひとつひとつが手狭な空間がたくさんあるよりも、明るく風通しがよい部屋で過ごしたいと思うのではないでしょうか。
間取りにある工夫がしてあれば、その時々の生活シーンに合わせて、または子どもの成長に合わせて、様々な使い方ができます。キーワードは引き戸の多用です。引き戸は、開け閉めすることで、空間をつなげたり、分けたりと、フレキシブルに空間を使い分けることができるスグレモノです。
下の写真はリビングと隣接する洋室の間仕切りを引き戸にした例です。引き戸を開けることで空間を広く使ったり、引き戸を閉めて別々な部屋として使うこともできます。
引き戸を多用し、フレキシブルに空間を使い分けることができるマンションの間取り例を こちらの記事で いくつかご紹介し、ポイントを解説しています。興味のある方はぜひご覧になってください。
家族構成や生活スタイルの変化のたびに、リフォームしたり引っ越ししたりするのは大変ですよね。また、家に合わせた暮らしを強いられるのも避けたいものです。最初に間取り選びをするときに、少し先の将来の暮らしぶりも想像しつつ、可変性のある間取りになっているかもぜひチェックするようにしてください。
( nomu.com マンションデータPlus 連載#マンションの間取り考より)