新型コロナウィルス感染対策で有効とされる「換気」。
では、どのくらいの換気をしたらよいのでしょうか。日本建築学会等の会長から緊急談話が発表されました。
日本建築学会会長などが緊急談話を発表
日本建築学会や空気調和・衛生工学会に質問が寄せられており、それを受けて3月23日に両団体の会長から談話が公表されました。
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新型コロナウィルス対策として政府の注意喚起では、1.換気の励行、2.人の密度を下げる、3.近距離での会話や発声、高唱を避ける 以上の3つを求めています。
十分な換気の量について明確なエビデンスはまだ十分にない
1.換気の励行とありますが、どの程度換気をすれば十分なのか確立したエビデンスはまだ十分にないとしています。
また、感染経路には「飛沫感染」「接触感染」「空気感染」がありますが、世界保健機構(WHO)は、主な感染経路は「飛沫感染」「接触感染」であると述べています。一方、「換気」が有効なのは、粒子が小さい飛沫核による「空気感染」です。
有効な換気の方法
換気の方法としては、窓を開ける「自然換気」であれば、窓を2か所開けることが望ましいとされています。また、もし換気扇などを使う「機械換気」を行うならば、給気口が閉まっていないか確認することが必要とのことです。
また、通常の家庭用エアコンやパッケージエアコンは空気を循環させているだけで換気を行っていません。エアコンをつけている場合でも、窓開け換気や換気システムの運転などにより換気を行うことが推奨されます。
空気清浄機については、一般的な空気清浄機では通過する空気量が換気量より少ないため、部屋全体の新型コロナウィルス対策に十分効果があるかどうかは不明としています。欧州暖房換気空調協会が公表しているガイドラインでは、空気清浄機に頼るのではなく通常の換気を行うことが推奨されています。
換気だけで感染リスクを十分に低減できるものではない
まとめとして、新型コロナウィルス対策として最も重要なことは「飛沫感染」「接触感染」を避けることであり、飛沫核除去に有効な「換気」をするだけでは感染リスクを十分に低減できるという考えは避けていただくことが望ましい、としています。日本建築学会では、今後さらなる学術的情報発信を行っていくとしています。
以上がこの談話の抜粋になります。
花粉症の人はどうしたらよい?
2か所の窓を開ける「窓開け換気」が推奨されていますが、実際のところまだ窓を開けると寒いし、花粉症の人などは窓を開けることによって具合が悪くなることがあると思います。もう少し暖かくなって花粉が減ってくるまでは、給気口が開いていることを確認し、そこに花粉を除去してくれるフィルターを付けて、換気扇を回しっぱなしにしておくのが良いかもしれません。
▶ 給気口に取り付けられるフィルターについてはこちらの記事を参考にご覧ください
花粉、PM2.5とカビ対策
24時間換気システムの効果はまだはっきりしていない
比較的新しい家についている「24時間換気システム」は、つけっぱなしにしていれば2時間に1度の割合で家の中の空気が入れ替わることになりますが、それで十分かどうかについても語られておらず、今後さらに詳しい解説を情報発信する予定としています。